糖尿病の治療方法と予防法@症状や対策の知識について
中高年の糖尿病と心がけ
厚生労働省が発表の「中高年への調査」によると、健康維持のため取り組む事柄を持っている人は、健康状態について、「良くなっている」という回答が多いそうです。また、糖尿病の人については、心がけていることがある人の場合、病状は「良い」と感じている人が多いとのこと。
調査は毎年1回実施され、病気や生活習慣改善への取組みと、健康状態の変化を理解することができます。健康維持のために「心がけていることがある」という場合、「特にない」という人よりも、状態が良いと感じている傾向がみられました。
健康のために心がけていること
・食事量に注意(男女とも多い)
・適度な運動(男性に多い)
・食事のバランス(女性に多い)
高血圧や糖尿病がある人で、心がけていることが多い人の傾向としては、健康状態に対する自己評価は高くなります。病状の変化に着目すると、「食事や運動」「体重」「休養」「ストレス」等、生活の中に心がけていることが持つ人は、病状の変化について「良くなっている」と答える割合が増えます。
一方で、心がけていることが「特にない」と答えた人はいずれの病気でも、病状は「変わらない」が多く「良くなっている」は減少しています。
糖尿病の治療では、食事と運動を中心に生活習慣の改善が基本。「食事は腹七~八分目」「運動を習慣にする」「休養や睡眠を十分にとる」「飲酒は要注意・喫煙は禁止」というのが一般的な注意点です。
この注意点は糖尿病にとどまらず、健康維持に役立つライフスタイルといえます。
糖尿病とストレスの関係
糖尿病があるとストレスの影響は健康体よりゲインが大きい傾向があります。また、影響範囲も広くなりがちで思わぬ影響になり要注意。
糖尿病におけるストレスと推移の例
・ストレス→血糖値上昇
・ストレス→解消のために過食→血糖コントロールが崩れる
・ストレスが原因のうつ状態
・QOL障害によるストレス(QOL:quality of life=クオリティー・オブ・ライフ。生活の質、生活の満足度、幸福度。)
糖尿病は治療の難しい病気であるというのが一般的な認識ですから、糖尿病との診断を受け、抵抗無く受け入れられる人は少数です。たいていの場合、落ち込んだり怒ったり否定したりして、現実に抵抗しようとします。
しかし、時間が過ぎると冷静さを取り戻し、自分が糖尿病であることを認め、治療に取り組むようになります。
QOL障害によるストレス
「食べたいのに食べられない」「定期的な通院」「薬物療法をしている場合の低血糖」「合併症がある場合の症状」などがQOL障害。克服にいたるプロセスは、怒りや否認などの抵抗→あきらめ→現実と真剣に向き合う、というのが一般的です。
つまり「糖尿病を受容する」「糖尿病とつきあう」ということです。
糖尿病によるうつ状態とは反対に「うつによる糖尿病」というケースがあります。うつ状態にある人は、空腹時血糖値が正常でも食後血糖値が高くなりやすく、正常な血糖変動であっても血中インスリン濃度が高いことが判明しています。
研究によれば、うつによる血糖値が上昇の原因は、インスリン抵抗性にあることがわかっています。うつから糖尿病になる人の多くは、血中インスリン濃度が高い「高インスリン血症」の状態となっています。
この状態の人は、インスリン量は十分分泌されていますから、まずうつの治療が優先的に行われます。そして、うつの治癒に伴い血糖値も正常範囲に納まるようになります。
糖尿病における妊娠・出産について
糖尿病は慢性病ですが、安静や施設療養が必ずしも必要という病気ではありません。基本的に血糖コントロールが順調で、合併症に注意することで、結婚生活、出産も大丈夫です。結婚相手には糖尿病であることを話し、糖尿病の正しい理解と知識をパートナーと共有してください。
妊娠から出産期をスムーズに過ごすには、出産後まで気を抜かず血糖値をキープすることが大切です。
コントロールが悪く、合併症を放置したままの妊娠は「糖尿病性網膜症」の進行、「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」などの危険性がアップするだけでなく、新生児の奇形や、、難産のリスクが出てきます。
妊娠前には必ず合併症の有無や糖尿病の状態をチェックすることが必要です。状況が許せば、血糖値を正常レベルにまで治療してからの「計画妊娠」が望ましいです。
糖尿病の女性の妊娠におけるトラブル
・妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠により、高血圧や尿タンパクなどが見られる状態。以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていたが、妊娠よる高血圧が原因であることが判明したことからこの呼び方に。妊婦そのものの症状に加え、子宮内胎児死亡の原因にもなる「胎盤の早期剥離」が起きやすくなることに注意。予防法は、低塩分・低カロリー・高タンパクな食事を心がけ、塩分は1日10g以下に制限する。
・羊水過多症
羊水が減るべき状況にもかかわらず異常に多いままの状態がつづく。通常妊娠後半から臨月にかけて減るはずの羊水が多いままで推移する。母体の血糖が高い場合、起きやすくなり、治療としては早産予防のための安静入院が一般的。
・膀胱炎・腟炎・腎盂炎などの感染症
糖尿病患者が妊娠するとかかりやすくなるとされ、現実に糖尿病の妊婦で発症率が高まる傾向が。腎盂炎は、腎機能を悪化させる点、特に注意が必要。
糖尿病のかたの妊娠でも合併症がなく、妊娠中の血糖コントロールが適正に行われていれば、自然分娩も十分可能ですが、健康体の妊婦さんに比べて出産に伴うリスクは高くなります。なので、糖尿病の専門医や産後の対応が適切にできる新生児科医の居る病院、糖尿病患者の出産に多く立ち会った経験のある病院で出産するのが望ましいです。
高齢者の糖尿病について
糖尿病の人の割合はある調査によると、60歳以上で6人に1人という高さだそうです。同時に加齢により合併症になる割合も高く、いくつもの病気に苦しむ人が多く存在します。
高齢者の糖尿病の特徴
・インスリンの効果が加齢とともに低下する。血糖値が高くなる。
・腎機能低下がある場合、血糖値に比べ尿糖が低く、薬剤の蓄積が起こりやすい。
・動脈硬化症が、進行しやすい。
・自覚症状が出にくいので、異常を見落としがち
・治療への意欲が低下しがち
・生活習慣変えることができない
糖尿病治療は、基本的に高齢者も若い人も同じ。血糖コントロールの維持がポイントです。ただし、高齢者は諸機能が全般に低下しているので自覚症状が出にくく、異常に気がつきにくいという特徴があります。従って、血液検査だけでなく、眼底検査や動脈硬化などの検査も定期的に行い、自覚の薄い症状をピックアップすることも大切です。
糖尿病治療の定番「食事療法」はうまくゆかないことが多いです。特に高齢者の場合、「食習慣が変えられない」「食品交換表が使いこなせない」「歯や義歯の問題」なども問題になります。
もう一つの定番「運動療法」についても、高齢になると心肺機能や膝関節など、各所の劣化を抱えているケースがあり、若い人に比べるとずいぶんハードルが高くなってしまいます。
「薬物療法」の場合は「薬の排泄が遅れる」という根本的な問題のほか、高齢故に「病気の数に伴って薬の種類が増える」という厄介な問題があります。高齢者の場合は一般的に体力低下が見られるので、ちょっとしたことで体調を崩しがち。シックデイになる頻度が高くなる点に注意が必要です。
昏睡とシックデイの対応
糖尿病の人が他の病気にかかると、一般的には治りやす軽い症状の病気、たとえば、風邪や腹痛・下痢などでもなかなか治癒しない傾向があるので油断は禁物です。病気になると人体には、血糖が上昇するという機能があり、糖尿病の血糖値コントロールがうまくゆかなくなるのも問題の一つです。
糖尿病治療中にかかった病気は、単独で考えず、両方を治療するように考慮しなくてはなりません。対応の誤りは病状の悪化を招く危険があります。場合によっては昏睡(ケトアシドーシス昏睡・非ケトン性高浸透圧性昏睡)に陥り、最悪死亡するケースも珍しくはないのです。
対処としては、早い段階での病気をケアが重要です。
糖尿病における昏睡
・ケトアシドーシス昏睡:急激な高血糖とケトン体の増加招く昏睡。血液の酸性化が進んで発生する。
・非ケトン性高浸透圧性昏睡:急激な脱水症状で高血糖となって起こる昏睡。高齢者で起きやすい。
糖尿病患者が、他の病気にかかった状態は「シックデイ」と呼ばれます。人体にとっては病気自体大きなストレスです。ストレスが高まると人体はいろいろなホルモンを出し、病気治癒を助ける仕組みがあります。
ストレスに反応して分泌されるホルモン、食事がとれないこと、発熱や下痢での脱水症状など、これらの要因は、単独・複合により血糖上昇の原因になります。糖尿病患者は、健体では問題にならない程度の変化であっても、代謝機能が破綻することがあり、病気が重症化しやすいので要注意。
シックデイの対応
・温かく、安静にして体力を温存する
・主治医の診療を受け、早めの治癒をめざす
・「食事がとれない」「下痢・おう吐」「強い腹痛」「高熱」「高血糖が続く」症状は特に要注意。早々に主治医にかかかること。
・「血糖値」「尿ケトン体」「体温」「食事量」「自覚症状」 などの基本的な検査は必ず受ける
・食事や水分、電解質(塩分やカリウムなど)摂取は過不足なく管理
・月経周期で血糖値が変化する女性は、変化のパターンを把握すること
・主治医以外の診察には、糖尿病の治療内容のメモ・主治医の連絡先・糖尿病健康手帳を持参し、現状を正確に伝える
・「健康保険証」「糖尿病健康手帳」「常備薬」「ブドウ糖」などは忘れずに持参